KIKKA WORKS

DIARY

シンプルだからこそ

キッカワークスを始める前に内装設計の仕事をしていたのですが、デザイン(設計)段階と実施された現実のインテリアとの「差」に苦労しました。
実際の空間をリアルに対象としているのですが、デザインした空間自体は施工されるまで確認できません。
その「差」を埋めるために、設計やデザインの質を高めるために図面やパース、模型といったツールを駆使する訳ですが、現実的な設計をし始めたばかりということもあり、なかなかその「差」に対して主体的な意識を持ちきれませんでした。

そこには実際に「造る」という意識が低かったからだな、と今では思います。

今では実際に「造る」しかも自分で作らなければならないという立場になって、その「差」が否応なく狭まりました。
家具を作り始めたばかりの頃は、パースや模型・原寸図・原寸試作を製作しても自信を持ちきれずに、恐る恐る製作していましたが、最近ではパースや図面で検討したまさに「そのもの」が実際に出来上がっていく感覚に出会うことが多くなりました。
ハラハラする緊張感が少なくなり、思った通りいく感覚に少し物足りなさを感じることもありますが、、、
そんな中でも良い意味で想定通りでないことの大きな1つは、「無垢材の力」です。

パースや図面、模型にしても、リアルなものを追求するのではなく、プロポーションや座り心地といったデザイン段階での検討できる程度のものを、決まるまでどんどん作り続けます。
なので実際の家具が完成するまでは、「質感」のないものを扱っているイメージ。
それが完成すると、カタチは同じでも丁寧に仕上げた無垢材の「質感」が付加された家具となって姿を現します。
それは想定と大きくことなる雰囲気をまとっていることも。

できあがって、思ったよりもずっといい!と内輪で自画自賛し合うことがたまーにあるのですが、そんな時はとてもシンプルなデザインの時が多いようです。
シンプルだからこそ、後は無垢材が勝手により良いものに昇華させてくれちゃいます。
家具職人は得な仕事です。

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