KIKKA WORKS

DIARY

SGデスクの製作

今回で3回目となるSGデスクの製作。
このデスクはここ一年で一番気に入っているシリーズ。

円弧型の貫材がデザイン的にも構造的にも特徴となっている、とてもシンプルな家具です。
円弧の曲げ加工が大変ですし、貫と脚の接合部の難易度が高く、デザイン・構造・製作の三拍子揃ってキモとなる部分。
でもここ以外はとてもオーソドックスでスムーズに製作できるので、色々と納得しながら取組める家具です。

積層曲げ

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脚と貫の仕口

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ここまできたら成形

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組立てて、目違払いと研磨

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台数は2台。
ご姉弟の勉強机なんです。
並べて配置するわけではないのですが、天板は同じ板で繋がった木取りに。

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見せ場となる部分に手間をかける
当たり前のようで実際に作業に直面していると、なかなか納得できるバランスで仕事を進められることってそうそうありません。
でも自分でデザインしているからこそ、自分で作るからこそ、そこもしっかりと納得できるバランスを追求したいと思っています。
そうでないと作ることもデザインすることも「続ける」ことがとっても難しいように感じます。

角度の加工

木工の加工で難しいものの1つが角度のついた加工です。

今回も「四方転び」といって2方向に均等に角度のついた脚のデスクを製作するので、脚の上端だけでなく周りとの取合い部が全て角度付きの加工になってしまいます。

これは長円型の貫がささる、脚のホゾ穴の加工写真。
この後この脚は旋盤で丸脚になるので、胴付きとなる段がきを加工しています。

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よく木工では「治具」といって、特殊な加工を安全にスムーズにするためのガイドとなるものを製作します。
製作するものを作るための道具を作る、といった感覚です。
その治具があればいつでも同じ加工ができるのですが、ちょっとでも設計を変えてしまうと治具を全部作り変えなければなりません。。。

ちょこちょこと設計を更新するキッカワークスでは、これは大きな悩み事。
なので、極力木工機械とバイスなどの固定具を活用して、精度を保って再現可能な方法をとるようにしています。

上の写真でも転びの治具を使わずに、角度のつけられるバイスを活用しています。
材料を固定して加工物を運行できる機械を揃えているのもそのため、手で動かす方法の中ではなかなか選択肢が広がりません。

ちょっと専門的になってしまいましたが、どうやって作ろうか、、、と工夫を凝らして加工方法を考えること自体も、家具を考えるのと同じくらい好きな仕事です。

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職人という仕事

木工を始めて日々思うことですが、「職人」という仕事は本当に大変です。
私は設計やデザインという仕事を経て、自分で製作する職人を目指したのですが、職人という仕事にかなり違う感覚をもっていました。

今思う職人像は「どんな加工も高い精度で際限なくこなしていけること」
何回でも何時間でも、同じ精度で淡々と持続できること、これは想像以上に大変なことです。

それなりに器用な人は、少しがんばれば上手くきれいに加工できますが、これをずっと続けられるかどうかが職人との分かれ道だと感じています。
その考えでいうと、私のように「自分の考えるデザインを形にしたい」という思いも、職人仕事からすると不純なことのように思えてしまいます。
職人は何を作るかではなく、どう作るかという局面に向かい続ける仕事のように思います。

そんな訳で、木工の仕事をすればするほど、職人として半人前な中途半端さを感じる訳ですが、この割合の中で自分らしさを見つけて仕事していくことが大切だなと思っています。

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